[前のページへ] [次のページへ]


    10、通夜の進行



通夜とは、ご遺体を葬る前に故人にゆかりの深い人々が集まって、故人の冥福を祈り、別れを惜しむ集いです。近年では夜通し棺を守るのは、肉親と親類などごく限られた人だけになり、弔問客のためには、
夜の6、7時ごろから1時間ほど営まれる、「半通夜」に変わってきました。
席 順
通夜は、正式な儀式ではないので、席順にはっきりしたきまりはありません。
(1)一般的には、祭壇に向かって右側に、棺に近いほうから喪主、遺族、近親者というように血縁の近い順にすわり、左側に世話役(葬儀委員長)、先輩、友人、知人、職場関係者というように来客が並び、正面後方に一般弔問客が並びます。それぞれ、故人に親しい人ほど祭壇の近くに席を占めます。
(2)特に故人と親しかった恩人や親友などは、喪主や近親者の次に座っていただくこともあります。
(3)会場が狭い場合は、祭壇の近くに喪主や遺族が座り、他の人たちはその周囲に適当に座ります。
(4)通夜が始まってから到着した場合には、到着順に座っていただきます。いずれの場合にも、世話役の人が「どうぞ、そちらヘ」と指示して座っていただきます。
僧侶の出迎え
僧侶が到着されましたら、着がえのために控室に案内し、喪主と世話役はあいさつして茶菓子のもてなしをします。このとき、読経時間や法話についての打ち合わせをします。
遺族・参列者一同は、席次に従って着席して読経が始まるのを待ちます。進行係は、時間になりましたら僧侶に知らせ、読経をお願いします。
読 経
(1)通夜は、僧侶の読経によって始まります。進行係に案内されて僧侶が入席し、祭壇の前に座って読経を始めます。
(2)読経は普通30〜40分くらいかかりますので、特に弔間客が多く、焼香に時間がかかりそうなときには、読経の間に焼香をすませることもあります。
(3)読経が終わりますと、僧侶は向きを変えて、参列者に「法話」をなさることがあります。
焼香の仕方
読経のあと、僧侶がまず焼香されたのちに、喪主、近親者、一般弔問客の順に焼香をします。
(1)焼香は、左手に数珠を持って祭壇に進み、祭壇前の座布団の手前にひざをついて、僧侶に軽く一礼してから座布団に正座し、合掌して右手で線香をとり、ローソクの火で火をつけて焼香をし、礼拝のあと参列者に一礼して席に戻ります。
(2)祭壇の間が狭かったり、参列者が多くて仏前への出入りに無理がある場合には「回し焼香」にします。回し焼香の場合は自分の席に座ったまま、順に回ってくる香炉で焼香をします。
出迎えと見送り
(1)弔問客が帰るときには、喪主や遺族は部屋で席についたままで、黙礼するか簡単なお礼を述べるかするだけで、玄関先まで立って見送ることはいたしません。
(2)目上のかたの弔問客であっても、遺族ではなく、世話役が出迎えて見送ります。
(3)弔問客がお帰りになるときには、清め塩と、志としてお茶などをお渡しします。
通夜ぶるまい
(1)通夜のあいさつをします
通夜終了後、頃合を見て喪主または親族代表が通夜のあいさつを行います。「本日はお忙しい中を、わざわざ通夜にお越しいただき、ありがとうございました。
故人生前中は皆様に大変お世話になりました。
皆様においでいただき、故人もさぞ喜んでいることと思います。
なお、粗食を用意いたしましたので、お時間の許すかぎりおくつろぎください」

(2)通夜ぶるまいでもてなします
弔問客にお食事や酒を出して接待することを、通夜ぶるまいといいます。
最近では簡単に食べられる寿司、サンドウィッチ、オードブル、ビール、ジュースなどが多くなってきました。
通夜の弔問客は順次お帰りになりますが、お見送りしなくても失礼には当たりません。

(3)ご遺体をお守りします
近親者が交代で祭壇のローソクと線香を絶やさないようにお守りします。

 


葬儀のしきたり
[前のページへ] [次のページへ]
[葬儀マナー事典 目次へ]